つくり手×つくり手INTERVIEW 第10回 DESIGN & CRAFT kochi(東風)
2015年09月13日

「つくり手×つくり手インタビュー」第10回。
今回は、DESIGN & CRAFT kochi(東風)の東さんご夫妻のお話を聞きに、下呂大鹿野工房の山口がお伺いしました。



高山41号線の交差点、西之一色町から車で5分程のところに、ショップ 兼 工房 兼 住居を構えているkochiさん。
ショップには、kochiさんの作品の他、お二人が選んだ作家の作品やインテリア雑貨が並び、併設されている「JIRO COFFEE」で休憩もできます。
以下、東さん:A、聞き手:Y
―これまでの経歴
A:二人とも、高山の木工の学校を出た後、家具メーカーに就職しました。会社に勤めながら、学校の仲間と共同の工房で作品を作ったり、展示会を行なったりしていました。そのうちに、妻が会社を辞め、お店を始めました。最初のうちは、作家ものの作品を中心に置いていました。その後、自分も会社を辞めて独立。自分の工房を持ちました。
―市街地から山手へ引っ越し
A:今の場所に移ったのは昨年で、それまではグリーンホテルの近くにお店がありました。(住居と工房は別)観光客はたくさん来ましたが、駐車場が狭く車も多いので、地元の人が来にくいところでした。
今の場所は、駅からは少し遠いが、周辺に観光施設があり観光客もよく来るし、外人もたくさん来るし。地元の人も前より来やすいといって遊びに来てくれるようになりました。
―飛騨高山博のパビリオンに使われた建物を改修
(Y:とても素敵な空間、不思議な建物ですね。)
A:この建物は、飛騨高山で行われた博覧会のときに使われた建物を移築したものだそうです。それを改修しました。階段の手すりを水道管にしたり、いろいろ工夫があります。
(階段の下にベビーベット)
A:カフェオーナーの赤ちゃんのベッドです。お客さんにも見てもらいながら、カフェがオープンしているときはここに赤ちゃんがいます。
―ショップ 兼 工房 兼 住居
A:お店には、木工の小物だけでなく、暮らしに関わるいろいろなジャンルのものを置いています。その方がたくさんの人が来やすいと思うからです。カフェスペースを併設したのもその発想です。ショップの真横に工房があるので、ちょっと見てもらうこともできるし。今度のオープン工房でも、あまりいつものスタイルを変えずに見てもらえます。
(Y:いつもお子さんと一緒にいられますね。)
A:住居も兼ねているので、子供(小学校と保育園の娘さん)が帰ってきたとき、いつもいられるのがいいですね。前は、お店と工房、住居が別だったので。子供たちは、工房の木端で遊んだりしてます。
(工房には赤い三輪車がありました)



―小物中心の創作スタイル
文房具などの小物を中心に作っています。家具だと、たくさんの種類の机や椅子はありますが、用途が限られてきます。小物はアイデア次第で様々な用途のものが作れます。最初から小物を作ろうと決めていたわけではなく、やっているうちにだんだんと小物中心のスタイルになってきました。
(Y:直線的なデザインのものが多い気がします。)
そうですね。シンプルでスタイリッシュなデザインのものを作っています。
(一輪挿しやマグネットでくっつくカードスタンドなど、アイデア満載でした。)
―大口の家具、大量生産の小物
(Y:具体的に家具と小物、どう違いますか。)
A:家具と小物では、作り方やお金の動き方が全然違います。家具は、展示会などで当たれば大きいものが一気に売れたりしますが、値段の半分ほどが材料費です。小物は、たくさん数が必要で、ショップに卸したりして販売します。値段に占める材料費の割合は小さく、ほとんどが手間費になります。
だからこそ、小物を作るためには、より効率的に作業を進めることが大切です。
―治具いのち
(Y:棚いっぱい、これ全部治具ですか!)
A:仕事は治具いのちです。作るのは一人でやっているので、よけいそうです。効率よく作業するほど、コストを抑えて、お客さんに良いものを提供できる。そのために必要な機械も、段々と揃えていきました。
最近は、多品種少量を目指しています。いろんな種類のものを少しずつおいてもらえるようにしています。だからこそ、効率が大切。治具いのち。
―ギフトショーやコーディネートの仕事
主に、ギフトショーなど業者向けのイベントに参加しています。自分の作品を置いてくれる店や人との出会いの場でもあるし、自分のお店に置きたいものを見つける場でもあります。作家個人向けのブースには自分と似たスタイルでやっている人もいます。
メーカーに依頼された家具のデザインや、モデルルームのインテリアコーディネートなどもやっています。依頼があれば家具も作ります。展示会やお客さんの層に合わせた作品を作るようにしています。



―ふたりの役割
(妻、薫さん(以下、K)も保育園のお迎えから帰ってこられて、インタビュー再開)
A:基本的には、妻がショップのことをやっています。お店に置くものは、もともと作家ものが多かったけど、今は作家ものに限定せず、だんだんとメーカーのものも増えてきました。コンセプトとしては、手に持てる自分たちの好きなもの、使いたいものを選んでいます。
(Y:商品を選ぶときはお二人で、ですか。)
K:基本的にはそうですね。作家ものは二人で、メーカーのものは完全に私が。勝手に。
A:でも、まあハズすことはないので。やっぱり。でも、俺が勝手に選んだら、「何これ」と言われるかもしれないけど(笑)
K:あんまり意見は合わないよね(笑)
(Y:お店の雰囲気や置いてあるものなど、なんとなく一体感があるし、ふんわりといい感じです)
K:作家ものは、二人ともが「オッケー」といったものにすることにしています。片方が気に入っているだけではダメ。
(Y:置きたいと思う作品は重なりますか。)
K:うん、作品は、けっこう合うね。普段の生活の意見は全く合わないけど(笑)食べ物の趣味とか。外食なんかすると、絶対同じものは注文しないし(笑)
A:商品の開発も、あまり相談せずに、勝手に作っていることが多い。けど、なんとなく二人のイメージのものになっているので。
K:でも、たまに相談すると合わなくて。
A:そうそう(笑)
K:でも結局突き進んでいくので。ね。
(Y:お店も工房も、すてきです。)
A:お店はえいやで始められる。続けるのが大変。みんなお店やればいいのにって思う(笑)
K:スペースを埋めるのが大変、小っちゃいところから少しずつ始めるのがよいかも。
―今後の展望
A:そんなに先を見ながらやっているわけではなくて。目の前のやりたいことをやってきたので。今、やりたいことを今やる。こんな感じでやっていきます。



最後になりましたが、Kochiという名前は、「東風(こち)」から、東さん風ということでダジャレっぽくつけたそうです。
小さなところから、段々と少しずつ、やりたいことをやってきたという東さんご夫妻。
お話を伺っている間も、ちびちゃんたちが家とお店を自由に動き回っていて、とてもかわいらしかったです。
お店の雰囲気も、お二人の雰囲気もすごく素敵で、また遊びにいきたいと思いました。
お店の情報はこちら。http://www.kochi-net.jp/
10:00~18:00 (冬期平日12:00~) 毎週木曜日,第3日曜日定休
コーヒーは水曜、木曜休み。17時くらいまで。とのことです。
お二人とも、ありがとうございました。
コーヒーは水曜、木曜休み。17時くらいまで。とのことです。
お二人とも、ありがとうございました。
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Posted by 飛騨の木工房の会 at 22:34
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