つくり手×つくり手INTERVIEW 第5回 北々工房
2014年08月22日

みなさんこんにちは。
「つくり手×つくり手インタビュー」の第5回。
今回は飛騨市河合町の山の中に工房を構える北々工房の北川啓一さんを、kino workshopの片岡清英が訪ねます。
北川さんには飛騨に来てから何かとお世話になっていて、どんな話しを聞かせてもらえるのか楽しみです。
大雨の降りしきる中、河合町へ向かいました。
あらためて北々工房はどんな感じで物作りしてますか?
「百貨店を中心に展示会をしていて、3人のスタッフとオリジナル家具とオーダー家具を半々くらい作っているよ。」
僕も一度百貨店に出展したことがあるけど窓が無く、風の吹かない空間はきつかったです。
「それは慣れだと思うけど、百貨店のいいところは沢山のお客さんと出会えることかな。」
「お客さんの声はおもしろいよ。そして一番の情報源だよ!」
「その声を生かして作ったものは必ず売れるから物作りはおもしろい!!」
飛騨に暮らしながら常に都会に暮らす人の感覚を持って作り出されるのが北々工房の家具なんですね。



北々工房の一押しはなんですか?
「飛騨のメーカーで設計をしていたから椅子は自信があるよ。」
「侃奈(じゅな)椅子は北々工房のベストセラー。長女の侃奈が生まれたときに作った子供椅子で、背板の穴は侃奈の機嫌の悪いときの口の形なんだよ。」
北々工房の家具はメーカーで培った技術でとても安定感があります。
「会社勤めの間にたくさん失敗を経験できたおかげで、工房を初めてから大きな失敗は無いかな。」
「今でこそ節や割れをデザインとして取り入れているけど、最初の頃は入れるべきかかなり悩んだよ。」
メーカーでは節や割れは基本的に捨ててしまうので、僕も以前勤めていた会社のゴミ箱から拾っていました。
移住者の多い飛騨の木工房の会の中では珍しく、生まれてからずっと飛騨に暮し物作りを続けていますね?
「飛騨は家具をつくるには最高の環境だし、飛騨を出るということ自体考えたことなかったな。」
「小学生2年生か3年生に夏休みの工作で作ったブックエンドが木工の原点。そのブックエンドは今でも改良して作っているよ!」
「それ以来夏休みが始まると工作のことばかり考えていたよ。勉強した記憶は無いけどね、、、、」
そういえば、遊び心のある北川さんの作品は、毎年9月に開催される家具のフェスティバルのコンペでいつも賞をとっていました。
物作りが大好きだから、地場産業である家具のメーカーで働くことは自然なことだったんですね。


僕が職業訓練校の時に初めて見せてもらった工房が北川さんの工房でした。
「13年間家具メーカーに勤めて、最後3年間は二足のわらじでとにかく時間が無かった。」
「独立して24時間自分のためだけに使えることがうれしくて、その時の開放感が今でも忘れられないよ!」
ショールームの壁には工房を開いたときの家族4人の写真が飾ってある。
北川さんの言葉通り、希望に満ちたうれしそうな顔が印象的でした。
「ここは冬に最低150㎝は雪が積もる豪雪地帯。でもその雪のおかげで自然が更新されて山がとてもきれいなんだよ。」
「展示会から帰ってくるとほっとするね。生まれ育った土地で安心するんだね。」
僕も飛騨に来て15年くらいだけど、飛騨は時間の流れがゆったりとしていて落ち着いて暮らせます。
豊かな自然ときれいな水がこんなに身近にある環境で物作りができるのは幸せなことですね。

どんな工房めぐりにしたいですか?
「今は物があふれている時代なので、どんな場所で、どんな人が作っているかということが大事になってくる。」
「そういう意味で工房めぐりは、スタイルの違う工房を一度に見て回れる機会なので自分に合う人や物を見つけて欲しいね!」
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北々工房の詳しい情報はこちら http://www.kitakita.info
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好奇心が強く、新しもの好きな北川さん。
今は果樹の手入れや石積みという「物作り」にはまっているそうです。
工房めぐりでは、作品だけでなく工房のまわりの作品にも目を向けて欲しいと思います。
北川さんおすすめの天生湿原は、北々工房から車で30分程。
10月の工房めぐりの頃には紅葉の見頃を迎えるのでぜひ足を延ばして豊かな自然を満喫してください!
「つくり手×つくり手インタビュー」は、イベント開催まで、随時更新!
いろんな面白いつくり手の話は、まだまだ続きます。次回もお楽しみに!